大判クラブ⑧マクロ撮影TESTⅢ 大判レンズのリバース

さて準備が整ったところでテストを始めるが、今回の目的は
①これらの機材条件でどのくらいの撮影倍率が得られるか?
②大判用のレンズも近接撮影でのレンズリバース(逆付)は有効か?
の二点である

アナログ時代には“近接撮影には、レンズを逆付けせよ”ということが言われていた。これは本来大きなものを小さく結像させるために設計されたレンズを、逆に取り付ければ、小さなものを大きく結像させるのに性能が上がる、ということだが、レンズ機能や設計が複雑高度化して、またマクロ機能を売りにしたレンズの開発が進んだりして、あまり注目されなくなったのだと思う。だいたいレンズを逆付するためのアダプターなんて、ニコンやキヤノンがレンズ総合カタログの片隅になるべく目立たないように載せているくらいで、新しいカメラのラインでは全く見かけないのではないか?
まぁ、デジタル時代になって久しく、カメラの高画素化もかなり進んだので、ある程度の倍率で撮ってあとは拡大してしまえば…、なんて使い方でほとんどは充分なのだろうか。

 

だが、今回の大判カメラテストの目的の一つは、通常カメラでは出来ない超接写、加えてアオリ撮影である。超接写+アオリ となると(実際やってみると分かるが)かなりハードルが上がる。なので初回の今回は、まずは手軽に手堅く?アオリの全くない平面撮影から始めよう。しかも被写界深度が絡む立体物は避けて、まずは単純なスケールとお札の平面撮影で、撮影倍率の変化を比べることにした。

 

しかしもう一方のレンズリバース(逆付)の方は、しっかり試してみることにしよう。実はこちらの方は使用する大判カメラのリンホフボードの裏技的利点として、ボードを裏返しても取り付け可能なのである。【巻頭写真】 これはアナログ撮影時代から気づいてはいたのだが、当時は4×5撮影でも等倍以上に拡大率を求める撮影はほとんどなかった。カメラ機能を利用した多重や合成、変形… などかなりテクニックを駆使していた方だと思うが、4×5フィル面で等倍以上の結像が求められたことは、拡大デュープがたまにあったくらいか…? レンズを逆付した場合の欠点としては、絞りやシャッター機構がカメラの蛇腹内に入ってしまうため、その操作が出来ないとういうことだが、フィルム撮影と異なり、シャッターはデジタルカメラ側で切るので開けっ放し、唯一絞り操作は平面撮影ならあまり絞り込むこともないし(第一、超接写では露出倍数もメチャメチャかかるので、あまり絞った撮影は光量不足で現実的でない)、少しの絞り込みならはじめから絞ってしまえばよいし、それでも絞り操作が必要なら、少々面倒でもレンズを一旦外して絞ってからはめ直すか、蛇腹側を外して行えばよいだろう。 かくしてテストを開始する。

【絞ってからレンズを再度はめ直す】


【AMニッコール120mmED_4倍正_逆向き_開放】


【ニッコールW90mm正_逆向_4倍_F22】

上記二つの比較写真は、いずれも撮影倍率約4倍。下部のスケール9㎜分が、D850 フルサイズ36㎜に引き伸ばされている訳だ。上のAMニッコール120mmEDは近接専用レンズなので、さずがに正向/逆付の差はわずかだが、それでも逆付がやや描写が細かいのが分かる。
下のニッコールW90mmは一般的なワイドレンズだが、同じ4倍の倍率を求めるにも蛇腹長が3/4で済むわけで、実際やってみるとこの差は大きい。(しかも倍率もやや大きいようだ)
やはりわずかだが逆付の方が描写がよい。
上の120㎜ではこの倍率で蛇腹長も約75㎝~となり、長尺蛇腹のほとんど“振り切り”状態だ。


【90mm正_逆向_7.2倍_F22】

同90㎜で蛇腹長は約65㎝。このような真平面でない実際のアオリを伴う撮影では、いかに長尺といえど「蛇腹1本」ではこのあたりが操作の限界か?
因みにこの長さでもカメラを覗きながらでは、カメラの前部に手は届かず、実際にアオリ操作を行うことを考えると、限界を感じてしまう。


【75mm正向_7.2倍_左からF22、F11、F5.6】

こちらはこのような撮影で、絞りによる解像の違いを試しているところ。 当初こちらも使用するつもりは無かった75mmを使用しているのは、いろいろ試すにあたっての作業性の問題。上記の90㎜で65㎝必要だった蛇腹長も55㎝程度になり、このくらいならかろうじてレンズの付いている前枠にも手が届く。今は未だどの倍率にどのレンズが相応しいか?という本筋の問題はさておいて、いろいろなテストと作業効率を優先することにする。
さて、この場合は中央のF11が最も良いようだが、絞り込みについては他レンズでもちょっとだけ試したところ、レンズによって違いがありそうなことが分かって来た…。                         いろいろ試したが、以下次号(笑)