ピクチャースタイルとニー(KNEE)補正

はじめに:ピクチャープロファイルを理解する
映像の特性を大きく左右する要素として、ガンマカーブとニーポイント、ニースロープがある。これらを理解することで、ピクチャープロファイルを効率的に使うことができるようになる。

αシリーズのピクチャープロファイルの詳細設定

 

ニー(KNEE)補正とは

一般的に、カメラはまぶしい太陽の日なたにあるものと薄暗い日陰にあるものなど、極端な輝度の差があるものを同時に明瞭に捕らえることが苦手である。日陰部分に露出を合わせれば、日なたにある物は明るくなりすぎて均一な白い物体にしか見えなくなる。ニー補正はこのように明暗の差の広い映像を、表示できる信号レベル内に収めるために必要な機能だ。ブラックガンマは暗部のコントラストに影響を与えるが、ニー補正は高輝度部分のコントラストに影響を与える。
実はCCD やCMOS センサーはかなり明るい入力信号まで対応できるのだが、ビデオ信号として出力するためにはこれを規定のレベル内に収めることが必要だ。そのため、ある入力レベル以上の高輝度部分においては、入力レベルに対して出力レベルが抑えられている。図で見ると、高輝度部分のあるポイントで線が膝(knee)のように折れ曲がっている。この境目となるポイントをニーポイント(Knee point)と呼び、折れ曲がった先をニースロープ(Knee slope)と呼ぶ。

ニーポイントの位置とニースロープの傾きを変更することで、高輝度部分のコントラストの表現を変更することができる。また、処理可能な入力信号のレベルの幅をダイナミックレンジと呼ぶ。

ニーポイント説明

モード:オート / マニュアル(SONY の設定)
オート: 以下の設定に基づいてニーを自動で調整します。
マニュアル: 以下のマニュアル設定に基づいた二ー設定に固定されます。

■オート設定  マックスポイント:90% ~ 100%
ニーポイントの最大レベル、つまり白の最大値を設定します。ニースロープはそれに合わせて自動で調整されます。基本は100%固定で使います。それより下げると白がグレーになり、上げるとハイライトの階調が切り捨てられます。

感度:高 / 中 / 低
ニーの自動調整が開始する輝度レベルを変更します。
低:通常よりも低い入力信号レベルからニーが自動調整されます。
高:にすると通常よりも高い入力信号レベルからニーが自動調整されます。

■マニュアル設定  ポイント:75% ~ 105%
ニーポイントの出力レベル位置を設定します。

スロープ:–5 ~ +5
ニースロープの傾きを設定します。
マイナス側は傾きを緩やかにします。表現できるダイナミックレンジは広がりますが、階調の表現力が低下します。プラス側は傾きを急にします。表現できるダイナミックレンジが狭くなりますが、階調の表現力が高まります。

言い換えれば、ニーとは被写体の輝度をカメラのダイナミックレンジに収めるために、あるレベル以上の輝度信号が約109%(ホワイトクリップ)以内のレベルで出力されるように圧縮する機能だ。ニーポイントは「どのレベルから圧縮するか?」という設定になる。人間の肌の輝度は85%前後なので、カメラでは人肌輝度と同程度の設定なっているようだ。つまり人肌の階調表現にあまり影響が「出ないようにしながら、空の雲などの階調表現を行うためにニーを使用する。
ニースロープとはどの程度圧縮するか?つまりニーポイントからダイナミックレンジの最大値にいたる輝度の傾斜(スロープ)のことだ。
一般的に高輝度部分のある映像の場合、白トビを抑えるためにニーポイントを低めに設定するが、高輝度部分がない映像の場合は、ニーポイントを高めに設定して、中輝度の階調を圧迫しないようにする方が階調が良いようだ。