色調調整を極める:RGB リフォーム①
カメラの画像エンジンやRAW 画像の調整技術が向上しても、最終的に作品として表現したい色を作り出すには、各自が望む画像の「記憶色」についてしっかりと捉えることが重要だ。
2.撮影画像の記憶色のRGB 値を理解する
撮影後の画像の発色を、自分が期待する“ 記憶色*” に近づけるには、画像の色情報が正しく理解できることが重要だ。作例2 はやはり小名木川沿いで13:30 頃、西北西に向けてやや斜光気味のアングルだが、この撮影画像の各部の画像情報はどのような数値になっているだろうか?
またそれぞれのポイントが自分が期待する発色にするためにはどのような数値になれば良いのだろうか?
ここでは各部のRGB 値、及び参考値としてのCMYK 値を測り、調整後の画像と比べてみよう。
一見すると分かりにくいRGB 値だが、トーンカーブで調整するにはRGB もしくはLAB モードでの操作になる(注:CMYK モードでもトーンカーブ調整が出来るが、CMYK モードに変換すると画像のカラー領域が狭められてしまう)HSB カラーなどでもカラー情報をつかむことは出来るが、直接HSB 値を操作することは出来ない。
* 記憶色(印象色)とは、人がイメージとして記憶した色のことで、実際の正確な色とは違う場合が多い。 人間は脳に記憶した色は実際より色鮮やかに記憶する傾向があり、このイメージを再現するために、商業写真や意図を持った作品作りには、写真を記憶色に調整する必要がある。
測定した1~7 までの各部のポイントを見てみると、この画像を調整する指標が具体的に見えてくる。
1(空の明部)では、最明点に近くほとんど画像情報がない状態だが、白トビはしていない。ここでは明るさを保ったまま、「空の明点らしい」明るい水系にする必要があるだろう。RGB データ上はB チャンネルを上げ、R を下げる操作になるだろう。
2(空の濃部)では、やはりB チャンネルを上げつつR を下げ、空の「期待色」に持っていく必要があるだろう。やはり明るさが暗くならないようにしつつ、色を出すには各色のバランスが「平均」ではい方向の操作になるだろう。
3(水の濃部)では、各色の値がそろって「濃いグレー」のような状態だ。濁りの元となっているRを大きく下げる
必要がるが、G、Bのバランスは元々僅かに上回っているGを強調する方向が自然だろう。
4(水の明部)も同様だが、(水の濃部)に比べればG味を抑え、すっきりした水色に近くするべきだろう。
5(建物の赤部)では、全体に明るさを保ちつつ、濁りの元であるB味を減らし、明るい“ 抜けた” 印象が出せるとよい。
6(緑の明部)では、明るさを出すとともに濁りの元である(反対色の)R味を抑えていこう。
7(道路の平均部)は、直接このポイントを操作するというよりは、他の色を操作しつつ、この中間色部分をチェックしていく作業になる。もちろんもう少し明るさがほしいのと、「赤カブリ」を抑えてなるべくニュートラルに近づけるのが良いだろうが、各部の調整結果としてのチェックポイントになる。