ピクチャースタイルとガンマカーブ
はじめに:ピクチャープロファイルを理解する
映像の特性を大きく左右する要素として、ガンマカーブとニーポイント、ニースロープがある。これらを理解することで、ピクチャープロファイルを効率的に使うことができるようになる。
ガンマ補正
これまで見てきたように、ビデオ映像の階調の原理を理解するには、「ガンマ」の理解が重要になってくる。ガンマとは、そもそもギリシア語アルファベットだが、コンピュータの画像処理においては「中間調の明るさ」を示す用語として使われるのが一般的。通常、ディスプレイのガンマ特性は中間調が暗くなる傾向にある。 そこで、あらかじめ中間調を明るくしたデータ信号を入力し、「入力:出力」のバランスを1:1 に近づけることで、色情報を正確にやり取りできるように調整している。 このように入出力機器のガンマ値に応じた最適のカーブに画像の階調を補正することをガンマ補正という。
ガンマカーブとは?
ガンマカーブは入力信号レベルと出力信号レベルの関係を表したものだ。被写体をより忠実に映像再現するためには、入力信号に対して出力信号が直線的に比例している必要があるが、これまで一般的に用いられてきたモニターはその性質上、入力信号に対する出力信号が図の赤線のような曲線になっている。一方でカメラが持つビデオガンマカーブは、この曲線の逆の特性を持った形になっている(青線)。これにより、カメラとモニターの特性が相殺され、元の被写体の様子を再現して表示することができるのだ。
ブラックガンマ
ハイエンドビデオカメラでは、ブラックガンマと呼ばれる暗部のガンマカーブ形状をわずかに変更する機能がある。ガンマカーブ形状を変えることで、映像のコントラストを強めたり、弱めたりすることができこれにより、映像の持つ雰囲気を大きく変えることができる。
ブラックガンマの概念図
ニー補正
白飛びを防ぐため、被写体の高輝度部分の信号がカメラのダイナミックレンジに収まるようにビデオ信号を圧縮するポイントやスロープを設定す
る。 ニーを自動で設定するか、手動で設定するかを決めてから、それぞれを細かく設定していく。
ガンマカーブの形状が映像へ及ぼす効果
映像の“ 画作り” を左右するガンマカーブだが、実は公表された詳細な資料は少ないようだ。SONY の各ピクチャープロファイルのガンマカーブに近いものを表示する。下の作例もそれに沿って作成したものだが、ガンマカーブによる“ 画作り” の違いが雰囲気的にはわかると思う。
これらのプリセットのガンマカーブに飽き足らなければ、ブラックガンマやニー補正をさらに加えて、好みの映像を作り出すしくみだが、いずれにしろガンマカーブの基本が理解できれば、ピクチャープロファイルによる画作りの違いも理解しやすい。